2014年11月22日(土)、大田区立山王草堂記念館 学芸員 黒崎力弥講師によるセミナに参加。徳富蘇峰が大正13年~昭和18年まで住んでいた邸宅が記念館・公園として大田区が管理している。
今回の特出すべきは、昭和2年撮影の動画(音声なし、青森文学館所蔵)で徳富蘇峰一家(孫の敬太郎さんも)が山王草堂で集まっている様子、芥川龍之介と息子(比呂志)たちが木登りしている様子などを見れたことだ。
徳富蘇峰は、日本初のジャーナル誌(国民之友)を発刊し、歴史的大人物(勝海舟、吉田松陰、新島譲...)との交流が見て取れる直筆書簡・資料が多く保存されている。黒崎学芸員からは次のような切り口で紹介され大変興味深いものであった。
1)ギネスによると徳富蘇峰は世界一たくさんの本を出した。(世界一長い小説を書いたのは、大菩薩峠の小説家中里介山)
2)明治の二枚目(イケメン)ベスト3(東郷平八郎、土方歳三、徳富蘇峰)の一人である。長髪の若い頃の写真はうなづける。
NHK大河「八重の桜」では、若き徳富猪一郎(蘇峰)は二枚目俳優中村蒼が演じた。
3)日本を代表する文化芸術の大物3人の中の一人(横山大観、佐佐木信綱、徳富蘇峰)
★意外な素顔・馬込文士村との関係性
1)徳富蘇峰の肖像画は、川端龍子が描いている。蘇峰は、川端龍子のパトロンとして海外留学費用を援助していた。
2)文豪(森鴎外、国木田独歩、与謝野晶子ら)の作品を蘇峰の国民新聞社で連載。
3)蘇峰の実弟徳富蘆花の夫人愛子は、村岡花子と同じ日本キリスト教婦人矯風会で交流があった。
4)池上本門寺には、蘇峰が碑文を書いた「河上 彦斎」(公武合体派の佐久間象山を切った尊皇攘夷派の熊本藩士)の墓がある。
5)熊本で徳富蘇峰が主宰していた私塾「大江義塾」でキリスト教や自由主義思想を学んでいた宮崎 滔天(とうてん)の息子が、あの白蓮とかけおちした宮崎龍介であり、宮崎龍介と尾﨑士郎は同じ出版社にいたという接点もあったようだ。
山王草堂からすぐ近くには「尾﨑士郎」記念館があり、改めて蘇峰と尾﨑士郎との関係性も見ることができた。